超貴重!☆Taku Takahashiオフィシャルインタビュー公開!

ヴォーカリストのLISAが在籍した“TRIPOD”期(1998-2002年)、 さまざまなヴォーカリストを招いた"LOVES"期(2003-2008年) 、そして5年のブランクを経て、2012年に第3期の幕開けを宣言したm-flo。原点回帰をテーマに掲げた『SQUARE ONE』、理想郷を目指しさらなる進化を遂げた『NEVEN』と、1年に1枚のペースでコンスタントに新作を放ってきた。

 その第3期の3作目となるのが、この春リリースされる『FUTURE IS WOW』だ。すでに100年後の世界を舞台にしたというコンセプトや、浜崎あゆみ、SOL(BIGBANG)、鷲尾伶菜(Flower /E-girls)、[Alexandros](ex.[Champagne])の川上洋平ら豪華な参加アーティストにも注目が集まっている。m-floはこのアルバムでどんな“未来”を描くのか。そして、m-floの活動はどこへ向かっているのか。そのスタンスから制作過程まで、☆Taku Takahashiからじっくりと話を聞いた。

【m-floの再始動〜現在まで】
「m-floは“日本を変えるための表現方法”」

——『SQUARE ONE』から始まったシリーズの3作目となりますが、今回はどんなテーマで制作が始まったんでしょうか。

☆Taku 今回はわりと早い時期から制作を始めていて、今までの中で一番スムーズに作ることができました。今回は最初の段階で、VERBALと「考えるのはよそう」という話をしたんです。自分たちがシーンのどこにいるのか、m-floとしてどう思われるのか。そういったことを、今回はあえて考えずに作っていこうと。

——そもそも☆Takuさんにとってm-floの活動とは、どんな位置づけなんですか。

☆Taku 日本を自分的にもっと面白く変えたいと思っていて、それをチャレンジする場所ですね。

——それは“日本で”と決まっている?

☆Taku 決まっています。ただ、これは、“日本を変える”ものであって、“日本のもの”という意味ではないんです。日本の音楽シーンを変えるために海外の人に聴いてもらう必要もあると思っているし。

——変えたいと思うのは、どんなところですか。

☆Taku 僕はずっと、日本の音楽シーンは選択肢が少ないと思ってるんです。これは良い/悪いの話ではなく、単純に選択肢の数の話なんですけど。日本の音楽は独自に進化しているといえば聞こえはいいけど、みんなが耳にするヒット曲は、アレンジメントやヴォーカルの表現方法において、ここ15年くらい進化していないように感じるんです。そんな状況下でリスナーの選択肢が狭まって、次第に音楽に飽きてきたというような発言を、いろんなところで耳にするようになってきています。

——確かに日本では、多くの人が年を重ねるにつれ、CDや音源を買わなくなる、音楽から卒業してしまう、という風潮があるように感じます。

☆Taku まさにそうですね。高校、大学くらいで聴いていたバンドを社会人になってもずっと聴き続けるとか、そういったスタイルのリスナーが多いように思います。一方、アメリカやヨーロッパでは新たなオルタナティヴ音楽がどんどん現れてくるので、好きなものを選択できるというという利点がある。まあシーンの入れ替わりが激しすぎて、どんどん消費されていくという問題もありますが、それでも新たな選択肢を耳にする機会は増えますよね。そうすると、年を重ねるにつれて好きな音楽が変化して、音楽とともに育っていくということもできるんですね。

——新しいものが生まれてくれば、シーンが活性化するし、刺激も増える。

☆Taku そうなんです。日本人はわりと安定志向で、人としては最高だけど、表現の成長という面で考えるとあまり好ましい場所ではない。それでもやっぱり新しいものは生まれるべきだと思うし、その選択肢を増やせたらいいなと思いながら僕らは活動しています。ただ、人間ってキャリアを積むうちに、どうしても守りに入りたくなっちゃうものなんです。特にどんなときに守りに入るかというと、考えこんでしまうときなんですね。だから今回は、結果がどうなるかを考えず、ひたすら楽しいと思うものを集中してやろうと。VERBALとふたりして「これカッコいいよね!」「うん!」みたいなノリで(笑)。

——今回、インタールードに「センス・オブ・ワンダーを探しにいきましょう」というセリフがありますが、まさにそんな感じだったんですね。

☆Taku  そう、“センス・オブ・ワンダー”は「ある種の不思議さの感覚を表す概念」を意味する言葉で、これは脚本家の佐藤大さん、渡辺監督とアニメ『スペース☆ダンディ』の話をしているなかで知ったものです(注:『スペース☆ダンディ 』には☆Takuも音楽で参加)。この言葉を知る以前から自分はこの感覚を求めていたんだなと、ピントのあう感じがありました。要は安心するものより、ドキドキするものを僕らクリエイターは求めているし、そのためにチャレンジしてるということですね。

——その姿勢は昔から変わらずにあるものですか。

☆Taku そこはデビューのころから変わってないですね。僕らは自分たちが一番いいと思うものをつねに出していきたい。その音楽を好きになってくれたらうれしいし、一緒に楽しめる人が増えたらいいなと。

——“センス・オブ・ワンダーを探しにいく”モードになって、音にダイレクトな影響はありましたか。

☆Taku ありました。周囲の反応を気にせず、プロデューサー気質を薄めて作っていった結果、自分が気持ちいいと思う音につながっていきましたね。

——それは☆Takuさんにとって、ダンス・ミュージックということですよね。

☆Taku まさに、それしか考えてないですね。今まで数字的にいろいろな成功体験をさせていただいてきたし、それはいろいろな人に感謝しています。ただ、僕にとってm-floの成功というのは、オリコン1位をとることじゃないんです。いろんなダンス・ミュージックがチャートにランクインして、クラブ・シーンがもっと盛り上がりをみせて、初めて成功と言える。そうじゃなきゃ、m-floをやる意味はないと思っていて。

——シーンの変革が最重要事項だと。

☆Taku そう。だけど、そこに絶望を感じたのが、前々作の『Square One』のインタールードで表現しました。あの作品で物語っているパラレル世界の話は、LISAがいたころに作った1stアルバム『Planet Shining』(2000年)とつながっていて。宇宙旅客機に乗って別の星へ行くとか、電脳化された社会でエキスポ体験ができるとか、そういう世界が2012年にあるという設定で作ったのに、まったく実現化されていない。音楽シーンも同じで、当時と比べるとあまり変化がなく、進化が止まっている感じがする。本当は今頃、僕らはもっと下の世代に「m-floって古いよな、俺たちのほうがいいよ」って言われているはずだったんです。だけど今となってみれば、むしろ自分より年下の子たちのほうが守りに入っている感じもするし。そういった不満が『Square One』のインタールードに詰まってたんです。

——あれは、ある種の怒りをもって制作されたんですね。

☆Taku 怒りもあったし、もっとダンス・ミュージックが海外のように盛り上がってる状況を作るにはm-floとしてやっていかなきゃいけない、m-floをもう一回やろうと駆り立てられる感覚もありました。VERBALと僕のm-floをやるモチベーションって違うところも重なるところもあると思います。ただ、今回はそのシリーズの3作目になるんですが、VERBALとの呼吸もどんどんあってきて、制作スピードがアップしている感覚がありますね。

【コラボレーションの相乗効果】
「ヴォーカリストには、好きに歌ってほしいと思ってるんです」

——今回、コラボする相手も明確な意志を表に出している人が多いなと感じました。たとえば“世界NO.1のロックバンド”を目指す[Alexandros]の川上洋平さん。彼はきっとマニアックなロック・ファンだと思いますが、まずはガツンと派手な音を出せるという点で、 m-floに通じるセンスを感じます。

☆Taku [Alexandros]はすごく華のあるバンドですよね。川上君と作った「FLY」は、もともとSwedish House Mafiaの「Leave the world behind」のようなロックの匂いのする男性ヴォーカリストを探していたときに、A&Rに紹介してもらったんです。川上君はAviciiとかNicky RomeroのようなEDMをけっこう聴いていて、話を進めるのも早かったですね。

——共作はどんなふうに進められたんですか。

☆Taku 彼らがちょうどツアーまわっていて忙しいタイミングだったので、主にケータイのSNSでやりとりしました。まず川上君にトラックを渡して、メロディを乗せてもらったんですが、そのとき彼、ファルセットで歌ってたんですね。そこで地声も聴きたいとリクエストしたら、けっこう時間がたってから、彼がコードを弾き直して、オケも録り直して、再度歌ったヴァージョンが送り返されてきたんです。逆に提案が返ってきたというか。

——それは頼もしい。

☆Taku その後も何度か率直な意見を交わして、オケが完成した時点では、この曲はVERBALのラップを入れないという話になっていたんです。でもVERBALがレコーディングで川上君と一緒になったときに、川上君から「ラップ入れてほしいです」と言われたらしくて、「どこに入れようか、どこも音で埋まってるよね(笑)」という話になって。スペースを探すうちに、ビートがないパートでラップするという案が生まれたりもして。コラボレーションでは、そういった僕たちだけじゃ浮かばないアイディアがいっぱい出てくるんですよね。

——「IRONY」で共演した女子高生ラッパー、dawokoさんの存在も強烈です。彼女の囁くようなアンニュイな声が、m-floのサウンドとまじりあっているのが新鮮で。

☆Taku daokoさんはもともと、佐藤大さんがすごく推してたんです。それでYoutubeで観たら、すごくいい!と思って、映画『鷹の爪GO』のエンディング曲を作るときにさっそくオファーしました。彼女はあの声で、すごいエグいこと言うじゃないですか(笑)。それがいいんですよね。

——一方で、BIGBANGのSOLさんや、浜崎あゆみさんのようにタレント性の高い人もいて。しかも、浜崎さんはラップに挑戦しているという話題性もあります。

☆Taku この「My Way」は、Miley CyrusのようなUSヒップホップ調の音で、トラップのテイストを入れて、ayuがラップしてたらカッコいいよねという話になって。その前に彼女の曲をプロデュースさせてもらっていたので、ダメもとでオファーしてみたら通ってしまったという(笑)。ヴォーカル録りはおまかせしたので、ayuと直接会って話しはしてないんですよ。今回ヴォーカリストとはそのパターンが多くて、Bella Blueちゃんとか、オランダ人シンガーのRuby Prophetさんも、基本的にはそうですね。

——そこにはなにか意図が?

☆Taku ひとつは、レコーディング方法が多様化して、それこそヴォーカリストが自宅でも録ることができるようになったという環境の変化があります。もちろんさらに高いクオリティの音質を求めるとスタジオに入ることが必須ですけどね。でも僕は今、ヴォーカリストに関しては“こう歌ってもらわなきゃ”というイメージを持たず、好きに歌ってほしいと思ってるんです。だから自由に歌ってもらって、その音源を受け取り、アカペラ素材をリミックスしているような気分に近いですね。

——今回、海外アーティストが多いのも特長的ですが、それはビビッとくる声質の人が海外に多かったということなんですか。

☆Taku そうですね。自分たちが鮮度高いと思うものを出してぶつかっていかないと、やる意味がないので。歌詞に関しても、VERBALが「もう英語でいいんじゃん?」って言ってました(笑)。だから今回は、今まででいちばん外国の方が多く参加しているアルバムかもしれない。

【トラック制作の過程】
「制作の終盤は古い機材を使って、“事故”を求めていました」

——インタールードでは今回、100年後からを今を観るという物語が語られていきます。100年後の世界には通貨もなく、音楽に誰もが自由にアクセスできる。これはすごくおもしろい設定ですね。

☆Taku まず、100年後の世界で、キラッと光る謎の円盤体のモノが発見されるんです。それで「これはなんだ!? たぶん記憶するデヴァイスじゃないか?」という騒ぎになって、2014年の音楽が掘り起こされる。確かこの話を考えてるとき、アニマトリックスの『セカンド・ルネッサンス』を観て、VEABALと「あれ観た!?」って盛り上がってたんですよ(笑)。そういうところから、ヒストリー・アーカイヴというモチーフが生まれたんですよね。あと、ちょうど『エリジウム』がDVDで出たタイミングっていうのも影響してるんじゃないかな

——そこは割とふたりの趣味の世界なんですね(笑)。

☆Taku まさに、そのとき盛り上がったものがそのまま出てます。それこそ『EXPO EXPO』(2001年)を作ったときは、ちょうど「EXPO'70 」の本を買ったタイミングで、当時の建築物とかを写真で観て「未来感あるね!」とか盛り上がって作った覚えがあるし。案外、そんなもんなんです(笑)。

——デビュー初期から変わらずにあるのは、宇宙や未来といった、未知のモノや概念をテーマにしている点ですね。

☆Taku それはやはり、未来がもっといい場所になってもらいたいっていう願望が強いからだと思います。今という時代に対して、こうなったらいいのにっていう不満があるからなんですね。

——m-floの音楽が既存のシーンにアゲインストする姿勢で作られているというのが、私にとっては意外でした。そうした姿勢の音楽はシリアスだったり、ヘヴィだったりすることが多いけど、m-floの音は誰もが盛り上がって楽しめる、ポジティヴな要素が強いので。

☆Taku 僕らの音楽は、ある意味ではレジスタンスでもあると思うんです。だけどそれは、誰かを攻撃したり、戦うというものではない。少なくとも今の日本のポップスはもう少し選択肢があってもいいんじゃないかと思っているから、「これも楽しいよ」っていう提案をして、行動で示しているんです。

——今回はトラック作りも、DJとして「これ楽しいよ」っていう感覚を優先した感じですか?

☆Taku そうですね。さらに今回は制作期間が長かったので、いろんな実験ができたし、それによって、今までで一番作り直しを重ねたアルバムにもなりました。なにしろトレンドの移り変わりって本当に早いし、今は自宅スタジオがあって最終段階の音を自分で決められる時代になっているので、いくらでも作り直すことが可能になんですよね。

——制作期間中ということは、数か月の単位で作り手としてのモードが変わっていくということですよね。それは本当に流れが早い!

☆Taku 制作中にはトラックを何度も何度も聴くので、自分自身、飽きてくる感覚もあるんです。それで今回は、制作の終盤になってから「何かが足りない」と思っていて、そこで活躍したのが古い音の入ったサンプラーでした。最近はパソコンだけで作業が完結することが増えて、アナログをサンプリングすることもだいぶ減ったけど、アナログ特有のバチッとしたクランチな音質が欠けていたなと気づいて。

——なるほど。

☆Taku 今はサンプラーを使わなくても、同じようなことが全部パソコンでできてしまうんです。しかもサンプラーを使うと20分かかることが、パソコンでは5分でできる。極論、同じことなんですけど、なぜか古い機材で20分かけたほうが自分の合点のいく音になるほうが多い。

——それはすごくおもしろいですね。

☆Taku パソコンは安定しているけど、古い機材って、ちょっと予測ができないんですよね。古いから自由がきかないし、単純に使い方を忘れてたりするし、いろんなファクターが重なって、事故が起こりやすい。この事故っていうのは、“センス・オブ・ワンダー”なんです。音作りの最後はそういう“事故”を求めて、音を足していました。

——そういう質感を求めたというのは、懐かしいものを求める気持ちからなんでしょうか。

☆Taku そうですね、今は過去のいいものを取り出すということに興味があります。時代とともにノドが乾くポイントは変わってくるんですけど、最近、自分の中では過去のサウンドのいい部分を反映したいという気持ちがあって。制作の終盤はずっと“過去”と“今”をくっつける作業をしていました。

——ある意味、過去というノイズを足していく作業というか。

☆Taku うん、味のあるノイズですよね。 そういったものが足されてると思います。昔のサンプラーには、かっこいい要素がたくさんある。ただし、音響的にいうと、サンプラーの音には厚みがない。音響というのは、ダンス・ミュージックとしてすごく重要な部分なんです。デカいサウンドシステムでバチーンと低音が響かないと、ダンス・ミュージックとしては成立しないと僕は思っているので。実際、DJをするときに過去のレコードをかけて音圧が低いと感じたら、今の音をかけて補正することがある。音作りもそれと同じで、サンプラーの音だけじゃ弱いから、それを補正するためにレイヤーをいれてあげなきゃいけないんです。。

【m-floの“これから”】
「希望を持っていたら、何も始まらない」

——制作中のトラックをフロアでかけることも?

☆Taku  途中段階で何度もクラブでドロップしてます。F1が走る実験室なら、クラブは踊る実験室という感じですね。しっかり音が聴こえるかチェックすることもあるし、フロアからのレスポンスをみて、オーディエンスとともに作っていくところもあります。

——プリプロを現場でやっているような興味深い制作過程ですね。そこには「block.fm」での活動も色濃く反映されていると思いますし。

☆Taku さかのぼると、“loves”シリーズの終わり頃、自分のなかで「メジャーでヒットし続けるためにどうするか」という感覚に陥ってしまって、これでは本末転倒だなって嫌になってしまった時期があるんです。m-floとして活動する意味が見いだせず、それが5年という長いブランクにつながりました。

——それは、“loves”シリーズの手法に飽きてしまったということですか?

☆Taku というよりも、興味を惹かれるものが他にあったんですよね。いちDJとしての自分に向き合いたくなって、ひたすらDJをやりたくなったんです。そういえば自分はダンス・ミュージックが好きだったな、m-floをやってるのもそういう音楽を広めたかったからだなと思って。あとは日本のシーンに対して、ポテンシャルのある人が紹介されなくなっている状況への危機感もありました。洋楽のライセンスするレコード会社が少なくなったり、外国人アーティストの集客が落ちたりとか、いろんな問題があって新しい音楽を知る機会がなくなっていって。そのなかで、90年代、2000年代と大きく育っていったシーンの速度が急激に落ちて、ダンス・ミュージックの人口が減っていくという状況がまずいなと思って。それでまずはTCY Radio という“海賊ラジオ”から始まり、いろんな経験を積んで、今の「block.fm」につながっていきます。

——危機感からメディアを作り上げてしまう、その行動力がものすごいと思います。

☆Taku あとは好きなものをみんなとシェアしたいという感覚ですよね。それってじつは、m-floをやる目的と同じ感覚だったんです。だからm-floとしても同じようなことができるんだって気づくまで、5年のブランクが必要だったということなんです。

——今現在、m-floに対するモチベーションはどうですか。

☆Taku 今は、次作をすぐに作っちゃいたいくらいモチベーションは高いです。というのも、今回のアルバムは、LiSAがいたころと同じような感覚で作れたんです。なぜなら、参加してくれたヴォーカリストたちが、みんないいメロディを書いてくれたから。MACOちゃん、[Alexandros] の川上君、Matt CabやJ-Hype、Bella Blue、MNDR、Ruby Prophetも、みんなそうですね。

——なるほど。

☆Taku  僕もメロディを作るのは嫌いじゃないし、「let go」のような曲のサビも書いてきたけど、僕が作る曲ってどうしても“邦楽”っぽくなっちゃうんですよ。そういうテイストじゃないメロディを作れるのがLISAであり、今回参加してくれたヴォーカリストたちだったんです。Jポップ的な泣きメロではなく、グローバルで、キュンとくる感じを出せるのが、僕の中でのm-floだから。

——ちなみに「let go」といえば、FlowerがVERBALさんを迎えて続編「let go again feat.VERBAL(m-flo)」を発表したのも新鮮でした。

☆Taku  僕も「let go」をカバーするって聞いたときビックリしました(笑)。VEABALが鷲尾さん(Flower/E-girls)と仲がいいから、そのつながりで、今回僕らのアルバムにも参加してもらって。

——今回のアルバムでもひときわテンションの高い「d.w.m」ですね。一方、E-girlsのニュー・アルバムに MNDRが参加していたりと、そうやって少しずつシーンが広がっていくのかなと感じたりもしたんですが。

☆Taku 参加されているんですね!それは初耳でした。そういうふうに広がっていくといいなと思います。ただ、なかなか積み重なっていかないな、というジレンマもあります。僕たちは海外のおもしろいと思う音を取り入れて、日本のシーンに提案していくんだけど、いつも根付く前にリセットされてしまう。

——ダンス・ミュージックは、そもそもが海外のスタイルを取り入れたものだから、日本にはなかなか根付かないという面があるんじゃないですか。

☆Taku  でも、日本にも4beat trance、例えば徳島の阿波踊りがあるじゃないですか。あれはまさに四つ打ちなんですね。日本の民族音楽を辿っていくと、太鼓と声だけで成立するものが多いんです。

——なるほど! そういう意味では日本にもダンス・ミュージックが根付いているとも考えられる。では最後にお聞きしたいのですが、☆Takuさんはこの国で、音楽シーンの未来にどんな希望を見いだされてますか。

☆Taku  未来に希望は…、もっていません。

——ええっ、そんな(笑)。

☆Taku  希望を持っていたら、何も始まらないんです。未来は自分で作りあげていかなきゃいけないものだから。きっとうまくいくと信じてるオプティミズムな感覚はあるけど、希望に頼るんじゃなくて自分たちで作っていかないと、何も変わらないと思います。

——ああ、なるほど。

☆Taku  だから「成功する可能性は見いだせていますか」という意味の質問になると、「あります」という答えになります。ただ、このまま何もしないと希望は生まれない。変えなきゃいけない、やるしかないんだよ、っていう感じですね。

——それは聴き手の側から言うと、「希望がある」に等しいくらい力強い答えに聞こえます。

☆Taku  まあ実際は、自分たちは今、希望とかっていうものを考える余裕もないということなんですけど(笑)。自分がもの足りないと思ったら、不平言ってるだけじゃなくて、自分でやっていかなきゃいけない。そういうことなんですよね。